『目の健康について考えよう』

 2月29日、学校保健委員会を実施しました。学校保健委員会は、学校・家庭・関係機関が連携をして子どもの心身の健康を守るために意見を出し合う組織です。学校の教職員と学校医さん、PTAの代表の方で構成されています。

 今年のテーマは『目の健康について考えよう』です。

開会のあいさつ 本校校長より 

学校保健委員会
 平素よりお世話になっております。コロナ禍で数年紙面での報告でしたが、今回4年ぶりお集まりいただきました。学校保健委員会は、子どもたちの健康についてテーマを設けて話し合う会です。本年度は目の健康をテーマに、情報を共有し意見交流ができたらと思います。 

子どもたちの健康状況~定期健康診断の結果を踏まえて~

学校保健委員会

・本校の児童は全国的にみて若干小さめで痩せている傾向にあるが、個人差があるので昨年からの成長をみたり、身長と体重のバランスを見ることが大切である。

・肥満の割合は減少傾向にあるが、痩せの割合が、特に高学年に増えているので気をつけてみていく必要がある。

・学習の様子を見ていると、猫背や斜めになって字を書いているなど姿勢の悪さを感じる。

・耳鼻咽頭疾患については、中耳炎や耳垢が多い傾向にある。耳垢は軟調や外耳道炎の原因になるので定期的に耳掃除のために耳鼻科に行くことが必要である。

・視力については、4年生以上のD(0.3未満)が急激に増えている。テレビやゲームの視聴時間、タブレットの使い方など、家庭と連携した取り組みが必要である。

・歯科については、虫歯が無い児童の割合が50%を下回っており、また、虫歯の処置をしていない児童の割合も多くなっている。コロナの影響で歯医者への受診の機会が減っているのか、心配な状況である。

養護教諭による保健指導

 視力低下が進みだす3年生を対象に『目の大切さについて考えよう』の保健指導を行った。

★指導のポイント~目を大切にするための行動~

(1)30分画面を見たら休憩し、目を休める

(2)アブレットや本を見るときは姿勢を良くし、30cm以上目を離す

(3)寝る一時間前から、デジタル機器は使用しない

(4)外遊びなど、外で体を動かす時間をたくさんとる

(5)ルール(使用時間など)を決めて視聴する

指導を終えた後の児童の感想

・多い時は4時間以上見るときが多いからそこを対策しようと思います。

・30分タイマーをかけて目を休めることを努力したいです。

・目は体で一番使っていてとても大切だから、画面から目を離したり、目を休憩させてたりして、目を大切にしたいです。

・5つの約束を家族にも教えてあげたいです。

・お母さんが「30分使ったら遠い所見てよ」というのは、目のために言ってくれているのだと分かりました。

 指導後でも、連休中にインターネットの視聴時間が5時間以上と答えた児童が13パーセント、3時間以上だと答えた児童が30パーセントいた。継続した指導が必要である。

学校医の眼科医の先生による講演

 目は0歳から3歳にかけてもっとも発達し、5・6歳までに1.0見えるようになる。5歳から6歳までに左右でモノをしっかりと見ることで、モノを立体的に見ることができるようになるので、この時期に眼帯をしてはいけない。
 斜視は子どもの2パーセントくらいにみられる。筋肉神経の異常や物が見えないことによる目の緊張など原因はいくつかあり、眼鏡や手術、訓練などで改善できる。斜視は近視の原因にもなるので早めの治療が必要である。小学校入学までが勝負。
 近視の人はモノがにじんで見えたり遠くのものが見にくい。視力が 0.3以下の人は一番前の席でも黒板が見にくく、1.0あれば一番遠い席でもよく見えるので、席を決める判断材料にしてほしい。近視の原因は一番は遺伝だが、近くを見る時間が長ければ長いほど近視になりやすくなる。野外で活動することが近視の予防につながる。近視が進むとほかの目の病気にもなりやすくなるで簡単に思わないでほしい。子どもの長時間のスクリーンの視聴は 大人よりも影響が大きい。ICT教育も眼精疲労・ドライアイ・近視の進行に影響があるかもしれないので、デジタル機器の利用方法を考えることが今後より重要になってくる。
・正しい姿勢で画面と垂直に30センチ以上離す
・30分画面を見たら1回は20秒以上遠くを見て目を休める
・角度調節や反射低減フィルムで映り込みを防ぐ
・教室の明るさにより画面の明るさを調節する
・寝る前は1時間画面を見ない
・外でのびのび楽しく活動する

 ネットの情報をうのみにせず、正しい情報を獲得し実践することが大切。ゲーム等で端末を長時間見ること減らすことが近視を防ぐ第一である。 

意見交流

保護者からのご意見
・小さい頃からの注意が必要ということが分かったので、幼稚園や保育園でこう言った話が聞けたらと思った。 
・家でも30分と決めていても制限をかけるのが難しいのが現状。でも視力は大切なので親子で頑張っていきたい。
・3歳児検診で検査を受けて目の異常が見つかったので眼科医につないでもらったが、そうでなければ目の異常を疑うようなことは無かったと思う。 
内科医より
・乳幼児検診で目の異常あるなしにかかわらず、6歳までに目の機能が作られることをもっと啓発していかなくてはいけないと感じた。産後ケアの時などにもそういった教育をしたり、乳幼児健診の大切さをもっと啓発する必要性も感じた。

眼科医 より
 視力検査は1歳では難しいので、3歳までは目の位置や目の動きをよく見てほしい。おかしいと思ったら眼科にすぐに来てほしい。また、片目をふさいだ時に機嫌が悪くなることが多い子は、もしかしたらもう片方の目が悪いのかもしれない。 

各学校医より

学校保健委員会

・内科医 より
 検診時の着衣の着脱についてですが、着衣をしたままだと大切な情報を見逃すかもしれないので、着脱について理解をいただきたい。学校では十分に配慮して実施をしているので安心してほしい。感染症についてですが、コロナは増えていて、インフルエンザBも増えてきている。コロナにかかっても、高齢者でも入院させてもらえない。とりあえずの点滴や酸素吸入はするが、基礎疾患があると特に危険なので、油断しないでほしい。 
・耳鼻科医 
 子どもでもアレルギー性鼻炎が多い。早期発見・早期治療で早く収まるので、早めの治療を心掛けてほしい。感染症について、コロナが5類になったとはいえ、気をゆるめないでほしい。インフルエンザは治療薬が確立されているが、コロナは解熱後も味覚障害や、においを感じない、のどの違和感など、後遺症を抱える方が多い。十分注意をしてほしい。 
・薬剤師 
 今日は、学校医と保護者の皆さんの橋渡しになる会になって良かった。薬のことでいうと、咳止めや抗生物質、漢方薬など、手に入りにくい薬もあるので、やはり手洗いと手指消毒で予防してもらうのが一番です。

閉会挨拶  PTA 会長より

学校保健委員会
 子どもたちの成長や感染症の情報、目を守る情報など教えていただき、大変ためになった。反省する面が多いが、自分の健康は自分で守るという環境を家庭でも作っていきたいと思った。 

 

 本日は短い時間ではありましたが、内容の濃い話ができたと思います。これからも学校・家庭・地域で子どもたちの安全を守っていきたいと思います。

 本日参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。